国内MBAのススメ

人生変えたくなったら考えてみよう。日本のビジネスパーソンにもっと学びを。mbajapan@outlook.jp

こういったカンファレンスもある..「京都大学・明治大学共催 金融国際コンファランス」

まだこのBLOGでも取り上げたことがなかったMBS明治大学ビジネススクール:大学院グローバルビジネス研究科)と京都大学大学院との共催カンファレンス。(会の名称は「コンファランス」)

京都大学明治大学共催 金融国際コンファランス」3月27日ー28日

http://www.meiji.ac.jp/mbs/information/InternationalConference3.pdf

 

これは内容ざっと見ると公開授業や一般向けセミナーではなくがちんこで最先端の金融工学事情など最新のグローバル金融の動向についてレクチャーするカンファレンス。

使用言語もおもに英語だ。国内ビジネススクールの可能性を広げる画期的なイベントではないだろうか。

 

このような会議が実現したのはひとえに刈屋 武昭先生(ビジネススクール教授、グローバル・ビジネス研究科長)の存在があるからだろう。明治大学ビジネススクールというと今までお会いした院生や参加したイベントなどからたいへん「元気のいい」大学院というイメージだった。起業に特化した情報発信や関連カリキュラムが目を引いていた気がするがこういったがっつりとアカデミック系のしかも国際的なテーマでの会議を京大といっしょにオーガナイズするのはいい意味で少しサプライズ

それにしても経営系専門職大学院における一橋大学人脈というのは大きな流れを作っているというのをここでも実感。文部科学省の肝いりで新制度として整備されたビジネススクール、維持レベルのプレッシャーは相当あるようで大学側も先生集めがたいへんだったと聞く。「優秀な先生」「院生を集められる先生」で探した結果各大学院には「一橋人脈」の重鎮がおさまったという図式かな。

 

 

国内MBA専門予備校

実績を重ねている国内MBA受験に特化した予備校がある。

「国内MBA大学院受験専門予備校:ウインドミル・エデュケイションズ株式会社」

http://www.windmill-edu.com/

 

2006年以来毎年コンスタントに50名以上の合格者を出している。(合格率は概ね80%弱)直接こちらの経営陣やスタッフとお話しさせていただいたことはないのだが何人か通ったという方にはお会いしたことがある。

この学校の特徴はひとことで言っていたれりつくせり、網羅的、入学後・卒業後まで含めて極めてよく考えられた教育内容。ここでがっちり勉強すればもう大学院に行かなくても勉強の基礎がしっかり身に付きそうだ(笑)

フルタイム型(昼間・全日制)と夜間・週末通学型に分かれた基本コースの指導内容も練りに練った内容。よく大学院側の事情や現状についても調査されている印象。とりわけフルタイム型の場合は研究計画書をきちんと書くのは大きなポイントなのだが実はMBA大学院受験向けに書かれたよい本はほとんどない。唯一これはおすすめと思った本があるのだがよくみるとこのウインドミルのCEOによって書かれたものだった(笑)。

入試の難しさや受験テクニックで大学院を語るような愚はしたくないが、ある程度受験勉強が必要な大学院はどこかということもほぼ判る。慶應、京大、一橋、中央、早稲田、首都あたりに対してはは小論文、研究計画作成でそれぞれを想定した指導を行っているそうだ。

この学校のWEBサイトではしっかりと様々な情報が公開されていて少しでもMBA受験を考える人は必見。在学生・修了生の「生」の声は貴重でMBAの今どき事情がよく判る。

 

 

ビジネスの世界の共通言語を学ぶということ

長いサラリーマン生活からの経験として実感するのは仕事の現場においてこの10年数年くらいで急速に会社のビジネスプランの理解に関してシビアさが求められるようになったこと。判りやすい例でいえば営業の世界。以前の根性論やいけいけどんどんからCRMの発達・普及もあり今や現場にまで「科学的管理」(もちろん新世代の、テーラーのいう古典的意味ではない)や戦略の実践者としての行動が厳しく求められる。

経営のシステム自体の高度化、加えて専門分野のコンサルタントの活躍もあって今や会社は緻密なプランやフィードバックのシステムのもとに運営されるようになっているのはまちがいない。人事考課や従業員のやる気を引き出す仕組みにおいてもかなり専門的で高度なモチベーション理論が応用されていることに気が付く。

これは何も大企業やエンタープライズといわれる企業での話とは限らない。小規模な企業においては経営陣との距離がさらに近い分形は異なるかもしれないが一層経営的知識、ビジネスプランへの理解と参画が求められるだろう。ビジネスの共通言語としての経営学の知識や熟達は会社の大小あるいは職責にかかわらずもはやホワイトカラーなら誰でも求められる世界になっている。

そこでこのようなシビアな企業社会の中で使われるだけの人(あるいは使い捨てられる人かな)にならないためにはどのような共通言語を身に着けていかなくてはならないのだろうか。ビジネスの世界で生きていこうと思えばやはりその世界のものを学ぶ必要があるだろう。

その共通言語っていったい何だと聞かれると私は2つあると思う。ひとつはそれぞれの部門や職責あるいは全社においてのビジョン、目的、目標、方針、戦略そして戦術を正しく理解・遂行するための「専門知識」。もうひとつはこれらの知識を収めるための「個人の智慧のフレームワーク」、あるいは論理的に考える土台としての「思考のメソッド」といってもいいかもしれない。もちろんより重要なのは後者。

ところがこういった共通言語の習得は実は専門書をひとりで読んで一生懸命マーカーで線を引いてもなかなかできるものではない。もちろん戦略の種類をいくつか覚えて説明できるようになるだろうけど自らの仕事で活かすためのフレームワークや土台とするのはかなり難しい。そもそも大概の本に書いてあることはその場でスマートフォンたたけばすぐに得られる。

それはやはり経営というのはこれだけ複雑化・生態系化した世界の中で人間が行うものだけにその習得には経験やコミュニケーションも交えた一種の統合作業(熟成?)が必要なのではないかと考える。この統合を個人内の化学反応として行うにはやはり体系的な知識習得、一定期間それなりの環境に身をおいて考えることと、異なるバックグラウンド含む多くの人、優れた指導者とのディスカッションが必要なのではないかと思っている。もちろん一人でそれができる、あるいは会社の企業内訓練でこういったものが提供されている人には不要だろうが多くの人にはまずこの体系的学習を単独で行うところで難しいだろう。

ビジネススクールは少なくとも同じ経営という方向性を持った同級生といっしょに実務家教員の指導のもと少人数(これがきわめて大事)で他のことを犠牲にして学ぶ場という意味でもこの共通言語習得の場としはてうってつけではないだろうか。

本を読んで得られるだけの知識ではなく「行動する智慧」のような存在になるための場としてMBAはどうだろうか。

 

 

 

日本でも定着するか経営専門職大学院評価

別の記事にも書いたけど、ビジネスクールの認証評価というと海外機関によるものが思い浮かぶがあまり知られていないのだが日本にもちゃんとある。

 

http://www.abest21.org/jpn/soshiki/greeting/index.html

特定非営利活動法人ABEST

 

なかなかしっかりした活動をしているようで学校選びの際にも参考になるかもしれないので紹介します。

Webサイトによりますと、

ビジネススクールのマネジメント教育の質の維持向上を目指したABEST21認証評価基準の基本を制定した。ABEST21は、ABEST21認証評価基準の基本に基づいて、わが国の経営分野の専門職大学院の認証評価を行うために、文部科学省制定の「専門職大学院設置基準」に準拠した「専門職大学院経営分野認証評価基準(以下「評価基準」という。)」を制定した...」とある。

従来の文科省の施策としての大学院評価から一歩踏み込んで「経営分野の専門職大学院」とうたっている。

いまひとつ実際に認証評価を受けた大学院が少ない(現在8校、なぜか2012年以降はまだない)のは気になるところだが、実際認証評価を受ける際に大学院側にも準備やペーパーワークなど多大な手間がかかって本当にたいへんだったという話を関係者から伺ったことがある。

認証評価とったからいい大学院だとか権威によるお墨付きだとか考えるのではなく、なるほど評価基準ってこういうところを見るのだという意味で個人としての「評価」をする際の参考にしてみるというのはどうだろう。

 

 

北の国でのユニークなMBAの取り組み

北海道唯一の専門職大学院MBAとして奮闘する小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻。こちらが北海道大学大学院工学研究科といわゆる大学院連携し提供しているプログラム「理工系博士課程大学院生のためのMBA特別コース」。残念ながらというかコースの性格上北大の工学系大学院生限定のプログラムだけど小樽商大大学院(ちなみにOBSというそうだ、”おぶす”では女子院生募集に不利ではないかとつっこんだことがある:余談)の院生にとってはこういった「異分子」といっしょの学びは貴重な機会となっているのではないだろうか。

プログラムの詳しい内容は以下のリンクを参照してください(平成23年度に書かれた資料ですがアップデートはないようです。CiNIIにも論文として収録されています)

一種のMOTの発展系というか、分岐したかたちかと思うけど似たようなプログラムは東工大にあるくらいではないだろうか。

 

http://www.eng.hokudai.ac.jp/graduate/mba/

(金子教授によるプログラムの詳しい内容がリンクされています)

 

知り合いもいるのでぜひこのプログラムの成果についても追いかけてみたい。

 

同大学は日本で最も小さい(学生数、予算でも)国立大学法人のひとつではあるが100年以上の伝統を誇るだけになかなかの存在感を示す。ここはMBAに限らず地域連携、大学・大学院連携にたいへん熱心。それだけ大学の存続・レベル維持に危機意識の強い大学ともいえるのかもしれない。

同大学院の教授陣は神戸大学、早稲田出身などの実務経験者の若手教授陣をそろえておりいろんな形で情報発信している方も多い。私もこちらの東京同窓会主催の公開セミナーに参加させていただいたことがあるが高いレベルの内容とたいへんな熱気にびっくりした記憶が鮮明です。

北海道まで行って大学院に入るのはそれ以外の地域の人にとっては現実的ではないだろうけどその活発な活動は目が離せないビジネススクールのひとつ。そういえば昨年富士通の元社長の黒川氏が引退後正規の院生として入学したことでも話題になっていた。こういったパターンや東京での仕事辞めて農業ベンチャー(もちろんそれ以外でもいいのだが)やるぞみたいな気概の方には一考の価値ありか。

 

 

 

MBAネガティブに惑わされないほうがよい

このBLOGは「ススメ」というタイトルついているくらいなので当然MBAポジティブである(笑)

ただ世の中にはあふれんばかりの国内MBAの価値についての懐疑論、いわゆるDISり情報などのMBAネガティブ論があるのも事実。これはそもそも日本的均質性&序列からはみ出るものはすべてネガティブでスタートという文化、日本独自の一種の反知性主義もあるのだろう。

 

極端なのは国際ビジネスクール(MBA課程)認証機関であるAACSBを取得していないため海外では学歴詐称になるから国内MBAは価値がないという記事まで見たことがある。私は外資系企業大手に長年勤務してきて本社の人事関係者ともいろんな議論をした経験があるけどそんなところは会社は見ていない。ふつーはプラスに見てくれる。そりゃあ、トップスクールはそれはそれで評価される世界ではあるけど。

こういう極端な論調はさておいても「ネガティブ」な側面からの評判があるのは事実。

具体的なことをいくつかあげると、まずは「学歴」や「箔付け」としての有用性は極めて限られるのは事実。一橋大学慶應義塾大学のようにフルタイム(これらはMBAを名乗っても専門職大学院ではない)で企業からも年齢含めて学歴として扱ってもらえる場合を除いてはMBAで学んだことをどう生かして自分のライフを前進させるかがすべてといってよいだろう。大学院=高学歴=自分の付加価値が高まるということをリニアに期待しての進学はあまりおすすめできない。MBAは学歴ではなく学習歴、ちょうど高速道路やブロードバンドがさまざまな産業の活性化や経済的付加価値増大にインフラとして効いてくるという議論に近いと私は思っている。「その上」を流れる何かがないと意味がない。そこさえしっかりしたら大丈夫。このあたりは、入試説明会で「この大学院を修了したらどんなメリットがありますか」と質問しているようではだめ、そういう発想の人は進学しないほうがよい。もっとも入学後変わる例も多いが。

 

もうひとつは、メリットの裏返しの面もあるのだが大学院の学生は年齢、経歴、その他のバックグラウンドそして学習に対するモチベーションなど大学学部までとはまったくことなる多様性の世界。残念ながらモチベーションの低い人もいる場合もあるだろうし、こういったダイバーシティの中で円滑な人間関係を保ち議論していく(MBAのカリキュラムはほとんどの科目でディスカッションが科せられる)のをものすごこくストレスだと感じる人も厳しいかもしれない。ただこれはもうメリットとの裏表だし、入学前に実際に説明会や在学生・修了生つかまえて徹底的に院の性格やどんな人が来ているかをよく調べて解決するしかない。実際このあたりは院によってかなり異なる。

いずれにしてもある程度の強い意志が必要なことは確かでそれさえあれば解決できる問題ではないだろうか。MBAネガティブ情報の大半は実はMBAではない人、あるいは最初からネガティブ論を展開する意図で書かれている場合が多い。それはそれで日本の大学事情と社会を物語っているのは事実でひょっとして貴重な見解かもしれない。MBAネガティブ情報に惑わされることなくそれを一種のフィルターやチェック項目だと思いMBAネガティブをクリアしてほしい。

 

「箔をつけるためにMBAにきたのではない」

とあるビジネススクール専門職大学院社会人主体)の在学生とのお話しのなかで発せられたひとこと。「私は箔をつけるためにMBAに来たのではないので魅力的な教授陣と通学条件だけでここに入学しました」。ビジネスの世界、社会的にも実績を詰まれてることは会話の内容から容易に想像がつく方だけに要するに学びの実質に焦点を当てての選択ということ。

専門職大学院の場合よく議論になるのだが、学歴ロンダリング目的のための進学ではないかという一種の批判はある(これはこれで実例交え別途考察してみます)。そういう意味ではこの方はまさに逆学歴ロンダリング。というより社会人の学びにもっとも似つかわしくないのは受験的偏差値固定序列の視点を持ち込む事だというのをよくご存じで最初からそういったことを一顧だにしなかったということ。

もちろん大学院としての評価は国際的なもの含めてきちんと存在するし実質的な優劣というのはあることは考慮しなければいけないのは当然だ。ただそれはけっしてガラパゴス的大学入試序列とは異なる。また、主にフルタイム(全日通学)の大学院になるがトップスクール的な高レベルの教授陣と授業内容を売り物にしている大学院があるのも事実。それはそれでおおいに結構だしさらに競争しレベルを高めて海外ビジネススクールに伍するようになってほしい。またそういったところで限界までアタマを使う2年間にしたいという選択もすばらしい結果につながるだろう。

しかし、専門職大学院は通えてなんぼ、尊敬する先生にいかに巡り合って仲間と議論をたくさんするかがポイント。あえてネームバリューのプライオリティを下げて進学先を選ぶという視点もありではないか。

MBAでのつまづきの理由 その1

最初から考えたいことではないが、せっかく大学院に入学はしたものの残念ながら留年あるいは最悪退学せざるえなくなるといった状況もありえる。とくに勤務を続けながらの大学院生活は先般紹介した元リクルートの江草三四朗氏の著書に描かれているようなある意味たいへんストイックな生活環境に2年間身を置くことになる可能性が高い。業務多忙のため結局授業に出れない日が何度が続きそして継続あきらめざる得ないというパターンは残念ながらよく聞く。

今日はちょっとちがった角度から、それでは具体的にどの授業がしっかりとした準備と復習が必要で手を抜けない?科目、つまり「つまづきやすい科目」(=単位を落としやすい)かというお話。それはずばり「数学」を使う科目。理系の学部出身、あるいは業務で統計学を日常駆使しているような方にとってはハードルでもなんでもないお話し。むしろ得意科目としてどんどん伸ばせばよい。

数学を使う場面はMBAのカリキュラムの中でびっくりするほど多い、特に1年次が問題。専門科目は選択範囲が広いので巧みに?数学必須の科目を避けることもある程度できる。その中でも第一関門クリアのための必須スキルはやはり統計学。いわゆる基礎科目(共通1年次共通履修科目)に統計学中央大学など)、基礎統計学、ファイナンスのための数理基礎(明治大学)など必ず必修あるいは避けられない形で含まれている。とりわけフルタイム型の大学院においては慶應義塾大学は伝統のマネジリアルエコノミクス(これはほとんど数学)はじめ1年次は数字とにらめっこの科目が並ぶ。京大も一橋(神田も商学研究科双方)ともに企業データ分析などが必修。

こればかりは明日のケース分析では重回帰したデータを使いなさいとか確率計算して比較しなさいと言われてもにわかに統計学入門開いて勉強していたのでは間に合わない。最初が肝心。

 

最近はフルタイム型の大学院でも入試に数学関連の科目が選択になっているので実際どの程度の数学の力があればいいのかはなかなかわからない。ここはしっかりとシラバスを読ん大学院説明会での面談、在学生・OBなどからお話しを伺うなどしたほうがよい。とくに数学に苦手意識を持った人、文学部などの人文系学部を卒業した人は要確認。あくまで目安ではあるけど最近話題になった西内氏の「統計学は最強の学問である」の内容が理解でき実際手を動かして計算できればOKだろう。(繰り返しになるけど理系やどこかでちゃんと勉強した人にとっては問題ないレベル)ミクロ経済学で使うモデルは基礎があれば授業の予習の範囲でなんとかなると思う。

数学やミクロ経済学を学部時代に履修しなかった院生向けのカリキュラムを用意してくれている大学院(京大など)もあるがなにせ大学院の授業は猛スピードで進む。短時間での習得がいすれにしても求められる。

MBAではどれくらいの数学能力いるの?」というのはおそらく受験希望者の不安ベスト3くらいにはいるのかな(笑)そのせいかネットでも「MBA 数学」で検索するとたくさん出てくる。ただ海外MBA校中心の情報が多いのでできれば入学前にやはり志望大学院関係者とよく相談することをおすすめします。もちろん大学院によってその必要度はぜんぜん異なるのも事実。

いすれにしてもMBAの世界におけるビジネスプランニング、マーケティング、会計、財務、経営戦略などいずれも数学が得意だとすべてにおいて学習・習得のプラスに働くのはまぎれもない事実。人生変える機会のひとつと思って数学に前向きに取り組む覚悟決めるのもあり。

図書館の活用はとても大事

専門職大学院(ではないビジネススクールもあるが)は修士論文は書かずにプロジェクト研究(レポート)を卒業要件にできる。ここでは一見それほど「研究」活動には重きを置いていないように見えるが、実は院生が入学から苦労するひとつは授業やレポート作成のための調べ物関連だ。専門職大学院はやはり大学院である。その辺のビジネス書の応用で書いたくらいのレポートではまずどこの大学院でもちゃんとした成績をとるのは厳しいだろう。やはりプロジェクト研究でもきちんと先行研究調査、研究のフレームワークそして参照・引用文献の収集整理は必須条件。

そこで頼りになるのは大学図書館。実は経営系の書籍・文献(図書館用語で「資料」)は意外と公共図書館には揃えられていないのである。ましてや最近の社会科学は統計資料やデータを用いる場合が多いので実質大学図書館以外での入手は国会図書館やいわゆる専門図書館しかないのだ。

学部学生ではあまり使いこなしている人は多くはないのだが大学図書館のリファレンスサービスもMBAの勉強には力になるだろう。

また社会人大学院生の場合、とくに家族がいる場合などは勉強場所の確保も喫緊の課題となる。快適な勉強環境としての図書館もこの場合とても重要なポイントだ。ビジネススクールに入学を検討している人はぜひこのあたりをチェックしてほしい。

この点からいうとやはり総合大学の大学院は恵まれている。慶応義塾大学、中央大学などはビジネススクール専用図書館を設けている。キャンパスが新しいこともあるがおしゃれなサロンのような図書館だ。勉強場所としてもいかにも快適そうだ。OPACはもちろん共通だしその気になれば「本館」の資料もすぐ取り寄せられる。あと、大学院生にならないとなかなか判らないところだけど機関リポジトリ(大学全体の論文などの学術成果の倉庫のようなもの)の充実も総合大学ならではのメリットだ。

その点都心サテライト型キャンパスの大学院はややハンディがある。いろいろ出かけて自分の力で資料を探すパワーが必要だ。今どきはネットワークも進んでいるし大学間提携など他大学利用の制度もあるのであちらこちらに出かけて(ノマド院生?)勉強するのが好きという人なら全く問題にならないだろう。いずれのパターンでも図書館の活用には早く馴染んだほうがよい。

書籍紹介 女子高生ちえのMBA日記

 これってベストセラーになったもしドラのノリで書かれた本かなとお思いきやちょっとそれとは趣が異なる内容。無理に女子高生社長がビジネススクールの聴講生になるという荒唐無稽なストーリーは違和感あるがシリーズなので致し方ないのか。

内容的にはずばり慶應ビジネススクール慶應義塾大学大学院経営管理研究科:KBS)に偏ったものになっている。フルタイム大学院に女子高生が通う設定は無理があるなあ、ま、よしとする。

本の中で紹介されている講義などとしては、伝統の経済性工学(芸術家兄妹の父上である千住先生が初代の教授を務められた)をきちんとわかりやすく紹介していたり生産管理の現場訪問見学の様子もちゃんとと描いている。院生自身がケースを作ったり実際に自身の会社の課題を持ち寄り議論する雰囲気などがよく描かれている。

またKBSの特色のひとつはジュニアとも呼ばれる社長後継者(候補)が比較的多い学校だ。そういう意味では跡取り女子高生社長の通うMBAとしてはいいのかな。

女子高生ちえのMBA日記 ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!! (女子高生ちえの社長日記)

女子高生ちえのMBA日記 ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!! (女子高生ちえの社長日記)

 

 

MBA、というか「マネジメントEverywhere」の時代

また多摩大学大学院の話で恐縮です。この大学の回し者ではありません(笑)やはりイベントなどを通じた情報発信が多い学校だけにアンテナにもかかりやすいというのはありますが。

今日は真野俊樹教授と山田隆司先生による医療マーケティングと広報のお話を伺った。

この大学は医療・介護ソリューション研究所というのを設置しているそうだ。

 

日本の抱える医療の問題、とりわけ医療費の増大のマクロな要因分析に始まり成長産業としての医療の可能性、医療をとりまく社会扶助と地域の関係などをざっと説明いただき講義が開始。わかっているようで具体的な数字など正確なことは意外と知らないことに気がつく。

 現代日本の医療はその課題解決の方向性として医療だけの問題を超えて地域包括ケアシステム、住宅政策との連携など広い社会システムの中で考えなければいけないそうだ。なるほど。具体的な地域の取り組みなどを伺うとあらためて納得する。医療だけの問題ではなくなっているということは、その他の社会システムとの連携や複雑な組織設計とその運営も関係してくるというわけだ、ゆえにマーケティングや経営が今後この分野でも重要になってくるということだ。

ドラッカー的マネジメント論を導入したモデルも研究しているそうだ。ドラッカーにしてもコトラー(フィリップ)も経営、マネジメントを決して利益追求の私企業の枠で考えていないわけだから理にかなっているアプローチだ。

病院マーケティングと病院広報のお話もなかなか興味深かった。マーケティングと行っても企業のそれとの違い、短期的な患者集客策ではない、信頼獲得のための長期戦略が目的ということ。そして広報はマーケティングの成果を病院に還元するための付帯業務と位置づけられる。

 

そして、今日の話でもっとも印象深かったのは「必要性のないところに説明は不要(No Needs No Presentation)」、きちんとしたコミュニケーションの必要をステークホルダー間で共有しなければいけない。それゆえその必要性を作り出すことが大事という広報の理念。いかに正しく病院の経営(戦略)をステークホルダーに正しく関心をもっていただきそれを伝えるかということだ。

確かに病院のブランドは簡単ではないし信頼獲得は時間がかかるだろう。

理想は患者が救急搬送される際、息も絶え絶えの容態で「あの病院に運んでくれ」と言っていただくことが理想のブランディングというのには笑えた。

今のこういった状況で、上記のような時代の変化の中で変革を求められるというのに経営戦略がわかる医療従事者がいないことだ大問題だそうだ。

とはいっても例外的に改革をどんどん進めているような病院をつぶさに見てみるとすでにMBA取得者が管理部門だけ(それにしてもまだめずらしいだろうが)ではなく看護部門やリハビリにもいる場合がかなり見られるようになっているそうだ。

まさに経営やマネジメントがわかる医療人材育成が日本の課題。

 

いい形で日本MBA(海外のでももちろんいいが)がこのような企業以外の組織・分野において活躍することが定着するか注目。MBAがいたるところ(Everywhere)

で活躍する世の中に。

MBAを試してみよう

大学院に通う決断をし実際に行動を起こす(そして合格する)のなかなか骨が折れるし解決しなければならない生活上の課題抱えた人も多いだろう。そもそも自分にMBAの勉強が向いているか、あるいはそれ以前に具体的にはどんな内容を学ぶのかはなかなかわかりにくい。大学の学部で経営系、商学系の専攻だった人はまだしも今やMBAはいろんなバックグラウンドの人が志望する時代になっている。受験前にはぜひとも自分なりに「MBAの学び」についてのイメージははっきりさせておきたい。

MBAってどんなところというのを知る身近な機会は以前紹介したようなイベントや模擬授業あるいは公開授業などに参加すること。もうひとつお金を払ってもよい、部分でもいいからMBAのエッセンスを学びたいという人におすすめはいわばMBAカリキュラムを切り売り(決して悪い意味ではない)している「学校」。老舗?といえばグロービスを思い出す人も多いけど初学者向けによりハードルを下げた形でカリキュラムを提供している会社が以下のMBAソリューションという会社。

http://www.mbajp.org/

マーケティング、経営戦略そしてアカウンティングなどのコアな科目を初学者から理解できるように丁寧な授業をしてくれるそうだ。ここの安部社長はおそらく日本においてMBA関連の情報発信量ナンバーワンのひとりといってもよいくらいの方。日本のビジネス界、そして個人のキャリアにとってMBAスキルがどんな意味を持つかの道標的な存在だ。

実際にスクールに通うかどうかはじっくり考えるとして同氏の発するMBA情報をまめにトレースするのは「MBAの世界」を垣間見るにはよい機会となります。