国内MBAのススメ

人生変えたくなったら考えてみよう。日本のビジネスパーソンにもっと学びを。mbajapan@outlook.jp

ビジネスの世界の共通言語を学ぶということ

長いサラリーマン生活からの経験として実感するのは仕事の現場においてこの10年数年くらいで急速に会社のビジネスプランの理解に関してシビアさが求められるようになったこと。判りやすい例でいえば営業の世界。以前の根性論やいけいけどんどんからCRMの発達・普及もあり今や現場にまで「科学的管理」(もちろん新世代の、テーラーのいう古典的意味ではない)や戦略の実践者としての行動が厳しく求められる。

経営のシステム自体の高度化、加えて専門分野のコンサルタントの活躍もあって今や会社は緻密なプランやフィードバックのシステムのもとに運営されるようになっているのはまちがいない。人事考課や従業員のやる気を引き出す仕組みにおいてもかなり専門的で高度なモチベーション理論が応用されていることに気が付く。

これは何も大企業やエンタープライズといわれる企業での話とは限らない。小規模な企業においては経営陣との距離がさらに近い分形は異なるかもしれないが一層経営的知識、ビジネスプランへの理解と参画が求められるだろう。ビジネスの共通言語としての経営学の知識や熟達は会社の大小あるいは職責にかかわらずもはやホワイトカラーなら誰でも求められる世界になっている。

そこでこのようなシビアな企業社会の中で使われるだけの人(あるいは使い捨てられる人かな)にならないためにはどのような共通言語を身に着けていかなくてはならないのだろうか。ビジネスの世界で生きていこうと思えばやはりその世界のものを学ぶ必要があるだろう。

その共通言語っていったい何だと聞かれると私は2つあると思う。ひとつはそれぞれの部門や職責あるいは全社においてのビジョン、目的、目標、方針、戦略そして戦術を正しく理解・遂行するための「専門知識」。もうひとつはこれらの知識を収めるための「個人の智慧のフレームワーク」、あるいは論理的に考える土台としての「思考のメソッド」といってもいいかもしれない。もちろんより重要なのは後者。

ところがこういった共通言語の習得は実は専門書をひとりで読んで一生懸命マーカーで線を引いてもなかなかできるものではない。もちろん戦略の種類をいくつか覚えて説明できるようになるだろうけど自らの仕事で活かすためのフレームワークや土台とするのはかなり難しい。そもそも大概の本に書いてあることはその場でスマートフォンたたけばすぐに得られる。

それはやはり経営というのはこれだけ複雑化・生態系化した世界の中で人間が行うものだけにその習得には経験やコミュニケーションも交えた一種の統合作業(熟成?)が必要なのではないかと考える。この統合を個人内の化学反応として行うにはやはり体系的な知識習得、一定期間それなりの環境に身をおいて考えることと、異なるバックグラウンド含む多くの人、優れた指導者とのディスカッションが必要なのではないかと思っている。もちろん一人でそれができる、あるいは会社の企業内訓練でこういったものが提供されている人には不要だろうが多くの人にはまずこの体系的学習を単独で行うところで難しいだろう。

ビジネススクールは少なくとも同じ経営という方向性を持った同級生といっしょに実務家教員の指導のもと少人数(これがきわめて大事)で他のことを犠牲にして学ぶ場という意味でもこの共通言語習得の場としはてうってつけではないだろうか。

本を読んで得られるだけの知識ではなく「行動する智慧」のような存在になるための場としてMBAはどうだろうか。