国内MBAのススメ

人生変えたくなったら考えてみよう。日本のビジネスパーソンにもっと学びを。mbajapan@outlook.jp

マッサンをMBA的視点で読み解くと...

国内MBAの読者にも朝ドラ「マッサン」を視ている人はかなりいることだと思う。ドラマはあくまでフィクションでかなりの脚色はされているのだろうけど、主人公のマッサンとそれを囲む事業の協力者などの行動パターンからはいろんなことを考えさせられる。

 

世間的には、情熱や思いだけであまたの反対意見にも屈せず夢を追及するマッサンの姿にハラハラしながら毎朝喝采でいいのかもしれないが、創業経営者としての資質という目で見るとどうだろう。スティーブジョブズすら彷彿させるビジョナリー、ウイスキーの製造技術という「テクノロジー」への造詣は満点だろう。

しかし、ドラマや何冊かある竹鶴氏の伝記ものを読んでも、あの時代になぜ日本でウイスキー製造なんだという必然性がほとんど見えてこない。唯一「日本人の暮らしが西洋化すればウイスキーの需要は高まるはずだ」という信念(思いこみ?だけだ。実際には当時でもある程度の市場調査やマーケティング活動はされていたのでなんらかの確信を持つにいたるデータはあったのかもしれないが、どう見ても暴走に近い行動に見えるし実際多くの失敗もしている。

見方によっては「ホンモノは受け入れられる」というサプライ側の論理一辺倒で市場無視にも見える。

実際は、ニッカウヰスキーといえば苦労の時代を経て戦後すぐに成長軌道に乗り高度成長期を通じ酒類・飲料企業としては「巨大企業」になったサクセス物語といってもいいだろう。

 

マッサンの夢と情熱だけではなく、戦争をはさんだ複雑な時代背景の中でいかに企業として成功していったか、成長の基礎を固めたそのKFS(キーファクターフォーサクセス)は何だったのかかを考えながらグラスを傾けるのもいかもしれない。

 

私自身は、市場調査やニーズに合った製品づくりといった次元とはまったく異なる時代性がマッサンの思いすら超えて思わぬ幸運に働いたのではないかと考えている。伝記の中ではあの真っ暗な戦争時代すら海軍指定の軍需品愛国工場の指定を受け原材料の優先供給を受け増産に励むことができ在庫(モルト樽)を積み増しできたのだ。

それにしても、そういった時代の流れを自らの幸運にするためにはやはり情熱、夢そしてホンモノを追及する信念が大前提だ。

大学院での2年間は、理論、調査方法や分析を学ぶ場にとどめず視野を広げビジネスの夢を語り自身の情熱を確認する時間にしてこそ価値があるのだと思う。